研修医研修(地域医療)

2007.6.11〜6.22  N赤十字病院 Dr. F
 F先生、お疲れ様でした。病院とは違う田舎の医療・福祉を見ていただけたかと思います。普段は直接顔を合わすことのない”病院にお願いする側”の私達の仕事について、理解してもらえたのではないでしょうか。病院は病気を治すところですが、診療所は患者さんが元気で過ごしてもらえるよう支援するところだと思います。病院から家に帰す中間施設として、うちのような施設を上手に利用してください。   畑野


写真掲載に当たってご家族の了解をいただいています







午前 8:30〜

外来看護

担当:中村

老健

担当:

在宅支援

担当:西村・谷川

薬剤・栄養

担当:久保・丸本

訪問看護

担当:堀

午後 14:00〜

出張所(吉槻)

担当:中村

老健

担当:

出張所外来

担当:中村

往診

担当:中村

往診 担当:畑野


<ケアセンターいぶきにおける研修>

  
午前 外来看護
 外来診察の見学をさせて頂くとともに採血、点滴、診察前の問診や超音波検査、レントゲン撮影等をさせていただいた。人数も少なく忙しい業務の中、必要が生じればすぐにレントゲン撮影や内視鏡の補佐へとめまぐるしく動く看護師さん達が印象的であった。また、私の研修病院ではまだ導入されていない電子カルテがすでに導入されており、その使い方にも非常に興味を引かれてしまった。

 また、この時、突然左片麻痺を発症した患者さんの家族より電話が入り私の研修先病院へ救急搬送されることになったが、日常経験している救急隊からの第一報が入る前段階の状況を経験できたことが新鮮であった。

 唯一気になったのは、採血時等の感染防御の意識が病院に比べて低いことである。手袋を毎回必ずつける等最低限のスタンダードプリコーションは必要であると思う。
午後 吉槻診療所での研修 訪問診療
 吉槻診療所にて診察をさせていただいた。この日来院した全ての患者さんが定期受診の患者さんであったが、やはり遠方まで通院するのは少し困難な患者さんが多く、診療所の重要さを感じた。この診療所では内服薬はほとんどすでに調合して持参していくようにしており、医薬分業が困難である現実もこの診療所の重要さを物語っていると思われる。

 その後、二軒だけだが往診に同行させていただいた。ドラマに出てくるような黒い往診カバンが非常に印象的であった。在宅で介護しているご家族はどちらも非常に温かく、わずかに目をあけるだけしかできない患者さんもおられたが、目を開けたりすることでご家族との間にはコミュニケーションが成り立っており、同じ空間で一緒にご飯を食べたりとそこでは患者さんがしっかりと家族の一員であることを再認識させられた。また、一般的な内科診察から褥創処置まで幅広く治療している先生にも尊敬の念を覚えた。往診に同行したのは学生の時以来だが、前回同様医療の原点はここにあるのだろうと実感させられた。
午前 老健 入浴介護
 入浴介護のお手伝いをさせていただいた。ほとんど寝たきりの方を入浴させるのは非常に重労働であった。また、床も滑る、転倒しそうになっても支える体も滑るという危険な作業であり、精神的にも重労働であった。全体をずっと監視しながらもテキパキと多くの入所者の入浴を済ましていく職員の方々の手際のよさにおは驚かされた。また、入浴を済ますと、ほとんど表情が変わらないような方の表情も和やかであり、清潔面、精神衛生面からも入浴の大切さを実感した。なにをどうしていいかわからず明らかに邪魔になっていた中、丁寧に指導して下さった職員の方々には感謝しています。
午後 老健 
 午後は、入所者のトイレ介助、食事介助、レクリエーション等を体験させていただいた。なんといってもやはり車椅子→トイレやベッド→車椅子等の「移動」が一番重労働であり、それでも生活のメリハリをつけるためにベッドから出るときは着替えさせ、車椅子で移動した後また椅子に座らせるといった細かい気配りをしているところに驚かされた。

 入所者の方の中に、数ヵ月毎に施設を転々としているかたもおられ、「慣れたころに出ていかなあかん」といっておられるのが印象的であった。また、その方は高齢であり、「世話してくれた人はみんな先に逝ってもうた」という言葉も非常に考えさせられた。
午前 ケアマネージャーの仕事同行
 ケアマネージャーさんと共にケアマネージャーさんの担当の方が行っておられるデイケアと自宅の訪問に同行させていただいた。ケアマネージャーという仕事についてほとんど何も知らなかったのだが、忙しい中丁寧に一つ一つ説明していただいたおかげで、ケアマネージャーという仕事のイメージがつかめたように思う。担当の方々のところへ足繁く通い、信頼を得ることでその方の本当の生活背景などいろいろなものが見えてきてそこでやっとその方に必要なサービスも見えてくるというケアマネージャーさんの言葉が印象的であった。

 病院にいるものに患者さんの本当の生活を理解することは非常に困難であり、退院後に必要な支援はやはり専門家の助言をいただきつつ、必要な治療を加えていくのが大切であると感じた。また、「病院に入院中の患者さんはどうしてもよそ行きの顔をしている人が多いんですよね・・・」という言葉も印象的であった。
午後 板並、大久保診療所
 うわさに聞いていた板並診療所はどうみても仮設診療所で今まで大雪に耐えてきたものとは思えなかった。たった一時間しか開いていない間に、新患さん含め十人もの患者さんが訪れ、待合室はもう座るところがなかった。90歳を超えた方々も歩いて来ておられ口々に診療所の重要さを語っておられた。診療所の前にずらりと並んだ老人車が目に入った時、それが実感できた気がした。

 大久保診療所は板並とは違いごく普通の診療所であった。ここでは診察、採血等をさせていただいた。この両診療所とも一週間に一度又は二度しか開かないがそれでも地元の方々には重要な診療所であり、特に遠くまで出歩くことが困難なご老人などにとって欠かせないものであると実感できた。診療所から多少遠くてもタクシー等が使えれば医療機関にかかれると思っていたが、それは患者さんを「診に行かない」ものの視点であり、診察するものが近くにいれば、それだけ物理的精神的に医療機関にかかりやすくなるものであることを再認識できた。

午前 薬剤部、栄養
 外来、老健における内服薬の調剤等を見学させていただいた。次々と処方箋が印刷されてくる中、在庫管理もしながらも一包化、粉砕等の指示通りに仕事を進めていた。施設ができてから苦労した点、工夫した点等を丁寧に説明していただいた。

 その後栄養についての話を伺った。次々と入れ替わる入所中の方々の栄養を個人個人に合わせて考えておられた。一緒に検食させていただいたのだが、私は気づかなかった食事の固さを指摘しておられ、同じものを食べてるにも関わらず気づかったことが恥ずかしかった。また、配膳される食事を各個人用になっているか全員分一つ一つ確認しておられ重要とはその地道な作業をしていることに驚いた。
午後 往診
 往診に同行させていただき、褥創の洗浄の処置などもさせていただいた。やはり往診でお邪魔する家は温かい雰囲気の家庭が多く在宅介護の良さを感じることができた。

 病院では、在宅では無理だから施設で・・・といった話が多く、仕方のないこととはいえさみしく感じることも多かったが、在宅でもしっかりと介護でき、また、それをしっかりと支援しているケアセンターいぶきのような施設がある伊吹地区をうらやましいと思う。しかしその裏で在宅介護が基本という姿勢を地域の人々の心に植えつけてきた伊吹の医療関係者の積み重なる努力も忘れてはいけないということ教えられた。
 

午前 訪問看護


 訪問看護に同行させていただいた。この日は二軒訪問した。そのうち一軒ではいくつも大きなジョク創ができている患者さんの処置をさせていただいた。いままでみたこともないような大きさ、数のジョク創があり、敗血症にならないのが不思議なくらいであった。おそらく、毎日の丁寧な洗浄等の処置が功を奏しているのであろうと思われた。在宅でもここまでやれるのだということを最終日に再度認識できた。

午後 往診

 畑野先生の往診に同行させていただいた。やはり往診でお邪魔する家庭はどこもあたたかく気持ちのよい家庭ばかりであった。病院にいると、なんとなく病院が中心で、その周りに診療所があり、さらにその周りに家庭があるという感じで物事を見てしまいがちであるが、
ここにいると、家庭が中心で診療所がそれを支え、さらにその後方支援施設として病院があるということを認識させられる。お邪魔する各家庭の介護している御家族の言葉はどれも重く、病院にいては思いつかないようなことばかりであった。非常に勉強になったと思う。

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