滋賀医大プロジェクト 「患者様訪問実習」 2008

2008.9.26
先日はお忙しいところ、施設見学や中山道の案内をしていただきどうもありがとうございました。
今回の患者様宅訪問の振り返りを送らせていただきます。次回は冬休みに訪問させていただきたいと思います。

◆経験したこと
 明治時代の貴重な古文書を見させていただいたり、庭を拝見させていただきました。庭の手入れが行き届いていたり、部屋のキレイさに感心しました。やはり貴族の気品さやお茶の一期一会みたいな心を感じました。戦争中、上海に救護班で行かれた話しを詳細に聴かせていただきました。Oさんの心の中で一番戦争の時の記憶が残っている感じがしました。僕たちが計り知れない程壮絶な経験をされたのだと思います。

◆印象に残ったこと
 病院に入院されている時、となりのベッドの方が「この病院医者がなんにもしてくれない」とか言って騒がしかったらしいのですが、愚痴ばっかり言ってないでお経を唱えることを勧めたらしいです。その方はお経を唱えることでかなり落ち着いたらしく退院されるときにすごく感謝されたらしいです。入院されていても看護師や元貴族の上品さの心を持っておられるのを感じました。

◆今日の気持ち
 今までの医療人GPの患者様は会話が困難で直接お話できませんでしたが、今回の患者様はお年にもかかわらず、会話もスムーズに話されるのですごく楽しくお話をうかがうことができました。貴族の出身者がどういう生活を過ごされてきたのかもすごく興味がわきました。

◆次回の目標
 以前看護師をされていたので今の医療と昔の医療の違いに感じられた点や今の医者や医療に求めたいことなどをお聞きしてみたいと思います。今度は湿度の低い日におうかがいして江戸時代の古文書を見せていただきたいと思います。

滋賀医科大学2年生
O.N.

2007年度の訪問実習対象者で、冬にお亡くなりになった人のお宅を訪問したときの振り返り

 昨日Yさんの家に訪問させていただきまして、Yさんは亡くなられましたが、ご家族の中に、畑野先生、中村先生の中に、そして私を含めて訪問実習をさせていただいた学生の中にYさんは生き続けていることを感じました。また、お嫁さんが診療所の先生にすごく精神的にも助けられたとおっしゃってたので在宅介護の患者様ご家族にも心のケアの必要性をすごく感じました。お嫁さんが僕の訪問をすごくありがたがられていたので、本当にお参りに行って良かったと思います

滋賀医科大学2年のO.です。
 先日は患者訪問実習のお世話いただき、ありがとうございました。遅くなりましたが、実習の感想をごく簡単に書きたいと思います。

 今回、伊吹で行われている取り組みの一端を感じることができて、とてもいい経験をすることができました。訪問したおばあさんが家に帰り自由な生活をして回復されている姿やお話を聞いたり、老健施設で行われている工夫や気配りを拝見しました。自宅への生活へ向けた前向きな取り組みである分、患者さんやそのご家族の状況や想いにきめ細かく気配りして様々な知恵を使わなければならないと思います。確かな信念がないとできないけれどもとてもやりがいのある医療だと感じました。

 僕はいま家庭医療や地域医療に興味を持っています。臨床の勉強が進んだら、ぜひまた実習にお伺いさせていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。今回はどうもありがとうございました。
医療人GPにおける振り返り
                              滋賀医科大学 2回生  H.D
◆経験したこと   
@訪問先のおばあちゃんとお話し、彼女の人生録についてお聞きした。
Aケアセンターいぶきの2階にある介護老人保健施設の見学。
B畑野先生と今回の訪問実習についての振り返り。

◆疑問に思ったこと 
@訪問先からの帰りの車の中で、畑野先生に今行っている末期のがん患者さんへの在宅医療の内容を尋ねたとき、先生が「最近は独居でも、末期がんの患者さんを診ることができると考えるようになった」とおっしゃっていました。その方法について、次回にもう少し詳しく聞きたいと思っています。

Aケアセンターいぶきでは、米原市の住人を中心に施設の周辺住人への在宅医療を行っているが、今後さらに過疎化が進むと、地域住人の人口も減っていき、ケアセンター自体の利用者数も減っていってしまう恐れがあるのでは?
 米原市では、ケアセンターいぶきの周辺に人を誘致する何らかの取り組みを行っているのか?医療は生活をさせるためのものであって、医療は生活の先にあるものではない、という考え方に相矛盾しているかもしれませんが、広大な畑の中に転々としか存在していない家屋を目にして、そんなことを考えさせられました。


 上記の質問に対しては、少しコメントさせていただきます。米原市は全国より10年早く高齢化が進んでいます(例えば高齢化率20%になったのは、米原市が平成7年頃、全国は平成17年頃。伊吹地域はもっと早い)。人が住んでいる以上、医療は必要とされますし、医療機関が不要になることはありません。幸いに都市部に比べれば、これからの高齢者の増加率は少なくなり、予測を持ってこれからの超高齢化時代に対応することができます。特に必要なのは、独居老人や高齢者世帯、要介護老人が増えるため、在宅での医療やケアを充実させることです。独居でも自宅で過ごせる、女性が仕事に行ける医療やケアの充実が求められています。さらに優しい地域づくり、優しい人づくりにより、この地域に長く住みたいという人が増えることを期待しています(畑野)

◆印象に残ったこと 
@介護老人保健施設を見学させていただいているときに、車椅子の患者さんが畑野先生に話しかけられ、畑野先生がとっさにしゃがみこんで、患者さんと同じ目の高さで、やさしく患者さんの話を聞かれていた。畑野先生の患者さんへのおもいやりを垣間見たように思いました。

A訪問先のおばあちゃんが、私たちが訪問することで、いつもより元気になってくれたこと。(畑野先生談)かくいう訪問した我々も、90歳を過ぎてもかくしゃくとしていらっしゃるお年寄りの方にお会いすると、すごく励まされ、もっとがんばらなくてはと考えさせられます。やはり、お年寄りには、次の世代に何か大切なことを伝える役割があり、次の世代を担う我々には、その話に謙虚に耳を傾け、彼らの人生談から様々なことを学ぶ必要があるようです。

Bケアセンターいぶき周辺の自然の美しさ。

◆今日の気持ち  
今日の訪問先のおばあちゃんとのふれあいの中で、患者さん本人が在宅医療を希望した場合は、在宅で往診を行う方が、病院に入院しているよりも患者さんのQOLが高く、より長く健康でいられることを実際に体験しました。そのような患者さんのニーズに応えるためにも、これからも地域医療について学び、地域に必要とされる医師になれるように努力していきたいと思いました。

◆戸惑ったこと  特にありませんでした。

◆次回の目標   
@今日は先生もお忙しく、在宅医療と地域の連携について、あまり詳しくお話を聞くことが出来なかったので、次回にその点について詳しく聞いてみたいと思います。
A訪問先のおばあちゃんの人生録をさらに突っ込んでお聞きする。


医療人GPにおける振り返り
                              滋賀医科大学 3回生  H.D
訪問日:09年03月30日
訪問場所:ケアセンター伊吹、Oさん宅

◆経験したこと   
@訪問先のおばあちゃん(Oさん)とお話し、彼女の人生録についてお聞きした。
A畑野先生の訪問診療に同行させていただいた。
B畑野先生と体験したことについての振り返りを行った。

◆疑問に思ったこと
 細かな疑問については、その都度、畑野先生に質問させていただいたので、ここでは割愛させていただきます。後でも書きますが、畑野先生が在宅診療されている患者さんの中に難病の男性患者さん(39歳)がいます。まだ小さなお子さんが4人いて、奥さんを含む6人家族。この患者さんは私と年齢が近いこともあり、その心境を察すると本当に心が痛みます。自分が残していく家族のことを随分心配されているのではないかと思います。畑野先生も患者さんへの診察の際に、それとなく「家族のためにメッセージを残すように」と、患者さんのやる気を引き出そうとされていました。私も残していく御家族のことを考えると、その方がよいのではないかとその場では思いました。ただ後になって考えたのですが、彼はこちら側の問いかけに対して、返事が出来る程度にしかしゃべらず、その他の運動機能も右手のひらと下肢の一部のみです。この場合、どのような形で自分の考えを相手に伝えたらよいのでしょうか。自分の考えを外に伝えようとすると、彼にとって、かなりの労力になります。彼は残された家族に対して、メッセージを残したいと考えているのか。メッセージを残すということが、我われからの押し付けになっていないかなどと、振り返りを書きながら、ふと考えています。

◆印象に残ったこと 
@難病の患者さんに対して、在宅診療を行うことが可能だということや、私と同年代の男性が難病で苦しんでいるということ、そして彼の家族の存在。
A患者さんの奥さんが「実験台にでも使ってください」と言ったこと。
 “実験台”という言葉を聞いた時は、その言葉が持つ無情な響きに過剰に反応してしまいましたが、そのような言葉を平気で奥さんが使ってしまうほどに、この病気が治療困難な病気であり、日々衰えていくご主人の姿をやるせない気持ちで見守っていると思うと、何ともやるせない気持ちになりました。
B最初に訪問したOさんが一生懸命に、自分の人生観や医師という職業の尊さを語って聞かせてくれたこと。

◆今日の気持ち  
@今日訪問させていただいた患者さんは、みな一様に表情が豊かなような気がしました。畑野先生がおっしゃる通り、患者さんは家にいる方が幸せなのだろう。畑野先生のように、患者さんやそのご家族のことを親身に考えてくれる医師がいる限り、在宅医療には多くの可能性があるのではないかと思われた。
A伊吹は自然だけでなく、そこに暮らしている人たちが豊かなような気がしています。明るい農村というイメージが強く、また好きになりました。

◆戸惑ったこと  
Oさんとのコミュニケーションに戸惑いを感じています。私の性格上、どうしても相手の本意を知ろうとしてしまうのですが、半世紀以上も年の差がある方に対して、どこまでその内面に踏み込んでいいのか、お会いする度に、戸惑い、不安な気持ちになります。

◆次回の目標   
難病の患者さんが家族にメッセージを本当に残したいのかを伺ってみたい。また、患者さんがどのような手段ならコミュニケーションが可能なのかについて知りたい。

先日は患者様宅に訪問の連絡をしていただいたり、往診に同行させていただきありがとうございました。以前小脳変性症の寝たきりの患者様を他の医院の往診で拝見し介護とか見てショックを受けたことがありますが、今回も難病患者様を拝見させていただいて神経内科医志望として色々と考えさせられるところがあります。

◆経験したこと
今日は患者様がご自宅にある古文書を見せてくださったり、我々を迎えてくれるために途中でしたが生け花をされていました。我々学生をもてなそうというそのお心遣いに感謝感激でした。私の祖父母も患者様と似たような年ですが、年をとるとともにこぎれいにすることができなくなってきました。でも患者様は生け花をされたり、部屋をぴしっと片付けられてたり、庭師さんに庭をきれいにしてもらったりとされているので、ちらかってる自宅に帰ってきた私はいつまでもこうでありたいと思いました。

◆印象に残ったこと
患者様は、育った環境からご近所さんと「おいこら」の会話ができないとおっしゃってました。ご近所さんと会うと患者様が自然と頭を下げて挨拶をしてしまうということでした。ご近所さんからは気が置けると思われていて、「おいこら」の生活がいいのか「しきたりを重んじる生活」がいいのか少し悩まれたことがあるようでした。

◆今日の気持ち
患者様の先祖は代々医者で、患者様も看護士をされていたので、医師や我々医学生に対して敬意を持って接していただいています。患者様はこの患者様宅訪問が将来我々に何かの役に立つように願っておられました。患者様のこの思いに応えれるように色々な経験をして立派な医師になろうと改めて思いました。

◆次回の目標
最近私は大学の茶道部に入りました。患者様もお茶の先生を以前されてたようなので、その話をしたかったのですが、他の話で長時間経ったため、お茶の話は次回にしようと思います。

滋賀医科大学医学部新3年生 O.N.

先日、訪問させていただきました滋賀医科大学3回生のS.Y.です。

今回、初めて、医療の現場を訪問させていただき、非常に勉強になりました。丁寧に、そしてつまらない質問でも言ってよい雰囲気を作り出してくださりとてもありがたかったです。又、畑野先生の、はたらく姿が、たのしそうで、自分の将来にも明るい光が差しました。以下に振り返りのまとめを送付させていただきます。

◆経験したこと
1)畑野先生と同行し、在宅で診療を受けておられる患者さんを訪問。
2)湖北に住んでおられるおばあさんを訪問。

◆疑問に思ったこと
おばあさんを訪問させていただき、お話を色々聞かせていただきましたが、本当に役に立っているのかと、若干思いました。

◆印象に残ったこと
1)畑野先生をはじめとする医療スタッフが、ポジティブに仕事をされている事。患者さんを、訪問することによって、逆に元気をもらうという言葉が、印象的でした。
2)米原市地域包括ケアセンターいぶきはがきれいで、非常に働きやすい環境を整えていたこと。
3)在宅というと、患者さんの家族が暗くなるかと思っていたが、患者さんの家庭に明るい家庭が多かった。
4)滋賀県の湖北は、田園の広がる陽気な田舎であったこと。

◆今日の気持ち
1)医療スタッフが前向きに明るく仕事をされていたので、自分の将来に希望がもてました。
2)次回訪問するときは、単なる見学だけでなく、何か役に立てること迄出来ないにしてもなにか役立てることが出来れば、もっと距離が近くなり、色々学ばせていただけると思いました。

◆戸惑ったこと
難病の患者さんなど重症の患者さんを前にどのような振る舞いをしたら良いのかわからなかった。

◆次回の目標
医学を学び、知識を増やしてより有意義するのは当然ですが、それ以外に以下のことが出来ればと思います。
1)難病の患者さんに対して、日記をつけてもらえるように、操作しやすいマウスなどなにか出来ればと思います。
2)患者さんとの人間関係が重要なので、難しいかも知れませんが、明るい空気を作り出す話し方が出来て、コミュニケーションをとりたい。