平成21年を迎えて

2009.1.1
地域包括ケアセンターいぶき  センター長  畑野 秀樹


1.地域包括ケアセンターいぶきの理念の確認

1)地域包括ケアの実践・・・保健・医療・福祉という領域を包括し、「地域住民が安心した暮らし」ができることを目指します。地域に密着した医療や福祉を提供します。
2)全国への情報発信・・・学会での発表・地域医療振興協会や自治医大を介した研修活動・インターネットなどを通して、継続した情報発信を行います。
3)経営基盤の安定・・・誇りと自信を持って取り組める職場環境を作ります。
4)次世代の育成・・・次の世代に安心してバトンタッチできる医師、看護師、介護士、理学療法士等を育てていきます。命を大切にする子どもたちを育成します。
5)文化の交流点・・・地域包括ケアの枠を越えて、子どもや高齢者など地域住民の文化の交流点としての役割を担います。

2.平成21年を迎えるに当たっての抱負

到達目標:  ◆◆ 30年後に、なおも「思いやりのある地域」であること ◆◆




@米原市民の意識を変えることを、4年目を迎える「いぶき」の目標とする

 「いぶき」は、何とか無事に3年目をクリアしようとしています。これまでの3年間は立ち上げ期間として、スタッフ一同いろんな苦労がありましたが、施設の方向性も固まり、地域住民からの評価も得ることができました。中だるみすることがなく、4年目に移行できることをとてもありがたく思います。
 これからの数年間は、「いのち」を預かる包括的医療福祉施設である
「いぶき」にしかできないことを実践していきたいと考えています。診療所や老健施設、デイケア、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所はそれぞれ評価をいただいていますが、さらなる高い評価を得るためにエネルギーを注ぐよりも、私たちスタッフが地域住民と力を合わせて、視野を外に向け、住民と一緒に、思いやりのある地域を作っていきましょう。

A命を大切にする生き方を支援する

 現代の医療が重要視している「命の長さ(延命)」ではなく、この地域においては特に「人生の豊かさ」を大事にしていきましょう。日本人がはき違えている「自由」は、「自分さえ良ければいい」というエゴではないでしょうか。社会の中で、自分の役割は果たさなくてはならない。
自分のためではなく、人(社会)のために生きること、その実践がいずれは自分に返ってくると思います。
 特に、高齢者を人生の先輩ととらえ、大切にしたいと思います。高齢者を病院や特老に任せっきりになってはいけない。「老・病・死」を、日常から離してはいけない。
高齢者に、次世代への「いのちの教育者」としての役割を果たしてもらうことをお願いしたいと思います。

B次世代を意識する

  ・・・若人→子供→孫につながるように・・・「いのちをつなぐ」

 これまで未熟ながら15年間、伊吹地域で医療に当たってきましたが、当時介護をしていた人が、最近は介護される側になりました。しかし子供さんやお孫さんが、誠意を持って介護をされており、「思いやり」という気持ちが、この地域には根付いていると思います。高齢者のいのちを、次世代につながないともったいない。
 自宅で、介護と子育てを両立できる体制を今後は更に整えていく必要があります。長寿社会に加え、出産年齢が高くなっている現代、40歳〜50歳代の人にとって、仕事と介護と育児のトリプルパンチとなっています。ホームヘルプ、デイサービスやデイケア、ショートステイをうまく利用して、
子育てと働く女性の支援をしていきたいと思います。
 「米原市の宝は?」と聞かれたときに「米原市民」と胸を張れるような次世代育成を是非していきたいと思います。

C具体的には、

 引き続き「家」を中心に考えます・・・在宅医療・ケアの充実、老健から在宅へ(平成20年度前期の在宅復帰率78%)
 個人情報の”過”保護ではなく、地域で支えあうための情報の共有をしていきます
 制限する医療ではなく、好きなことを思い切りできる医療やケアをしていきます
 老健は引き続きショートステイに比重を置きます(ショート30床、緊急ショート枠2床)・・・家でがんばる人を応援します
 リハビリを重要視します・・・リハスタッフの増加と、介護士等のスキルアップ
 家の人は仕事に行ってもらうための、看護・介護サービスの充実をします
 社協との連携強化をします
 小規模多機能デイサービスとの連携強化をします・・・ひだまり、ほほえみ、かせの等
 託児所(保育所)設立への取り組みをします
 広域化・・・米原市近江地区での地域ケアを展開します
 若い医師を育てて、外へ出します・・・「琵琶湖の稚鮎作戦」