第12回 地域サロン・宅老所・グループホーム 全国研究交流フォーラム in しが

2009.2.21〜22 @ 大津市民会館 & 大津プリンスホテル


プログラム


プログラムより引用させていただきました。
古来からここ近江の地は、国の交通の要衝として存在してきました。また戦さや商売のために、多くの人たちが行き来し、多様で柔軟な近江の文化をつくり上げました。
 それに滋賀は琵琶湖を抜きには語れません。その琵琶湖は、滋賀はもとより、京都、大阪の水源として多くの人の命と暮らしを守ってきました。
 私たち「街かどケア滋賀ネット」の活動も、そんな歴史や風土を土壌としています。分野や領域にまたがった多様で柔軟な活動、市民や事業者や行政の協働、宅老所やあったかほーむを中心とした”くらし支え合い“の活動などがごく自然に生まれました。
 戦後になっては”この子らを世の光に“として実践を続けた「近江学園」を忘れてはなりません。
 どんなに障がいが重くても、主体的に・社会的に生きる権利を主張した糸賀一雄。障がいのある人とない人が、水平に・共に生きていくべしと説いた田村一二。誰もが、仕事と役割を持って、街や村で暮らすべしと実践を続けた池田太郎。
 三人は時代の状況から障がいのある人たちの施設福祉に力を注がざるを得ませんでしたが、いわば日本型ノーマライゼーションともいうべきその思想は、滋賀の高齢者への支援を中心とした”街かどケア“の根底にも流れています。
 その滋賀の宅老所や小規模デイサービスやあったかほーむは、現在80カ所ほどに達しています。またそれに併せて、地域サロンの活動もいっそう活発となり、その数は民家利用型も含め、現在1、646カ所となっています。
 今回のフォーラムは、その「地域サロン」や「小規模多機能ケアの場」、「共生ケアの場」などの取り組みをもう一度振り返りつつ、地域での「持ちつ持たれつ・くらし支え合い」のあり方を考えていきたいと思っています。 
 またこれまでは、取り組みが小規模か大規模か、多機能か単機能か、共生型か単独型かで語られることが多かったものを、地域全体での多機能ケアや共生ケアといった視点で議論を拡げてみたいと考えています。
 なお今回のフォーラムは、例年滋賀で行われている障がいのある人たちの地域支援を考える「アメニティー・ネットワーク・フォーラム」と協働し、そのプログラムの一部を共通のものとしました。
 「知的障がいのある人たちの宅老所などでの活躍」や「あったかほーむなどの共生ケアへの取り組み」、それに「高齢者や障がいのある人、子どもへの虐待防止」などのプログラムを用意しました。”人・暮らし・地域“を共に考え、共に学び合って、明日からの活動につなげていただいたら幸いです。

畑野が言いたかったこと・・・会場ではうまく言えなかったのですが・・・
今回、私は、地域における「ケア会議」(ケースカンファレンス)を通して、多職種が協働して、地域住民を支えようとしている活動について報告しました。

これは、医療や介護のスタッフだけで活動するのではなく、地域住民の意識を変革して、みんなで支えあおうという地域づくりです。

住民が、医療や介護の施設やスタッフに要求するだけではなく、住民として左のスライドのような気持ちで、生活していただきます。
住民を、病院や老人ホームに行かせない、行かせきりにしないために、常に自宅での生活を意識していただくことになります。

独居でも認知症でも、人がそこに住むだけで、子どもや孫は「帰る家」がある。ご近所さんは、気にしなくてはならない家がある。社会が継続できるわけです。特に過疎化が進む旧伊吹町の地域では、集落の存続にかかわる大事な問題です。

大切なことは、「自分の住んでいる地域を誇りに思うこころ」。

介護の必要になった人々を支えるのを、家族だけにしては、家族が壊れてしまう可能性があります。「お嫁さんを仕事に出す介護を」というのが、一つのキーワードになろうかと思います。家族も、地域の人も、医療や介護のスタッフも、行政も、みんなが少しずつ汗をかいて、助け合う地域づくりをしましょう。
左のスライドは、私たちが基本にしている理念です。いわばバイブルです。

医療は、住民のためにあるものであり、まちづくりのために使われなければならない。今盛んに行われている日本の医療は、個人の健康や病気の治療に向かいすぎていないでしょうか? 「個人さえよければそれでいい」のでしょうか?

その家を、その地域を、元気にしたい。そんな思いで、医療やケアを実践したいと思います。
地域包括ケアとは、包括的・継続的なケアが、地域の中で行われること。

地域包括ケアの中心にあるのは、住民であり、利用者であり、家庭です。それを守るのが、病院や診療所などの様々な医療機関であり、施設系・通所系・訪問系の福祉サービス機関です。ボランティアさんなどの力も必要です。

多職種が協力し連携しながら、住民や地域を守りましょう。
例えば、喉頭癌の患者さん。病院では、一人の患者さんに過ぎず、好きなお酒やうまいものも食べられず、「安静」「清潔」を指示されていました。

退院して家に帰り、訪問診療、訪問看護、デイケア、デイサービスなどを利用してもらいました。安静にするのを止めてもらいました。「やりたいことをやればいい」

好きなお酒を飲み、刺身など美味しい物を食べ、かわいらしいひ孫たちと話し、時々子どもの運転する車で遊びに行ったりして、余命を過ごされました。

「家でよかった」、「この家族で幸せだった」という気持ちで、生涯を終えて欲しいし、家族にも「十分介護した」という満足感が残り、孫やひ孫には「おじいちゃんは死んじゃった」という現実を知り、生きることについて勉強して欲しいと思います。
こんなことを思いながら、ケア会議(ケースカンファレンス)を毎月開いています。保健師、医師、看護師、ケアワーカー、ケアマネ、理学療法士など・・・。平成6年から14年が経過しました。行政レベルの会議ではなく、現場のスタッフによる顔の見える関係です。

地域の要介護者約250名について、情報交換を行っていますが、医師には話してくれない秘話などを、ホームヘルパーさんや訪問看護師さんから聞くことができます。またヘルパーさんなどが対応に困っていることが、案外医師がやると簡単にできたりします。逆に医師ができないことを、ヘルパーさんや看護師さんにお願いすることがあります。

ここで解決できないことは、地域包括支援センター保健師に伝え、行政レベルでの対応をお願いしたり、民生委員さんを動かしてもらったりしています。

「みんなでこの地域を守ろう」、そんな気持ちで活動しています。


2月24日、米原市志賀谷の老人クラブの総会に招待していただき、健康教室をさせていただきました。
「こんな思いやりのある地域にしていきましょう」、「元気に地域で暮らしていきましょう」
あちこちでそんな話もさせていただいています ・・・10年〜30年後の地域のために