平成24年度滋賀県在宅保健師の会「湖都の会」研修会

住み慣れた地域で最期まで暮らしたい

平成24年5月24日  近江八幡市 滋賀県男女共同参画センター

地域包括ケアセンターいぶき  畑野秀樹


滋賀県国保連合会より依頼を受け、在宅保健師の会にお招きをいただきました。いぶきで行っている取り組みについて話をさせていただきましたが、さすが保健師さん、「地域で暮らしていくこと」についての共通理解ができていましたので、熱心に聞いていただけました。聞き上手で話し上手な保健師さんならでは。貴重な発表の機会をいただき、ありがとうございました。

保健師さんからのご意見や質問

家族を自宅で介護することとなったが、看取りに際し、往診してくれる医師の存在がとても安心であった。
認知症の親を看ているが、認知症は進んできているのに食欲が旺盛なのはいいことなのか。
地域によっては往診してくれる医師が少なく、在宅療養は難しい。少数の医師が奮闘している。
尊厳死に通じるところがあり、よく理解できた。
24時間体制でみていると、医師のプライベートはどうされているのか心配。
今の現状では、胃瘻を作った人の行き場がなくなり、介護難民化してしまう。
在宅介護、在宅看取りにあたり、ショートステイで受けれてもらえる意味は大きい。ぜひ進めてほしい
親を特老で看取ったが、胃瘻をしなかったことに「これでよかったのだろうか?」と悩んだ。特老職員の「私たちが看取ることができてよかったです」と言われて、本当に楽になった。
団塊の世代が後期高齢者になるとき、どう行動すればいいのか


   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   

考察
在宅医療・ケアという選択肢を選べるようにしている。高齢・過疎の地域において、在宅看取りが増えていくわけではない。23年度の自宅での看取りは減少し22名であった。ただしこれに加えて、ショートステイでの看取りが10人あった(1名は岐阜県関ケ原町の特老ショート、1名は長浜市の特老ショート)。医師が最後の看取りをしますよということを伝えれば、介護施設での看取りは可能になっている(スタッフも肯定的である)。最近できてきたグループホームにおいても、看取りまでしますという方針のところが多い。今後は、病院でもない、自宅でもない、第3の場所での看取りが増えてくるように思われる。
老健、ショートステイにおける高齢者ケアの役割が大きくなってきている。現在、病院では「家族の休息(レスパイト)」の入院は不可能、「認知症」を持った患者さんは寝かされたり縛られたりする。また「看取り」のための入院も難しくなっている。要介護高齢者や家族のニーズに応じたケアが老健では可能である(可能にする必要がある)。在宅療養を継続するにあたり、ショートステイなしには考えられない。高齢者と家族が優しい心遣いができるためにも、ショートステイを使い、「離れる時間」の確保が必要である。
看取りが近づいてくると家族は様々なことに悩む。これからどうなっていくのか、医療者や介護スタッフがどのように支えてあげられるかを説明することで、家族は徐々に「受容」していかれる。その「死を受け入れる準備期間」の確保がとても大切である。病院に搬送してしまうと、どうしても胃瘻など延命のための処置を施されてしまうことが多い。「老衰」によるものであれば、「口からとること」に様々な工夫を凝らし、それでも無理であれば「もういいのではないか」、「家族は十分な介護をしてこられましたよ」という寄りそう声掛けが家族にとっての安心となる。
医療・介護スタッフにとっても、看取りの際に「これでよかったのか」と悩むことが多い。スタッフ間でのプラスの振り返りは大切である。家族からのお礼の言葉は、スタッフを勇気づける。