滋賀医科大学5回生、地域実習を終えて

2013.7.22〜25

4日間の実習を終えて、S君から手紙をいただきました。学生さんの目をつけるところは、私たちが思うところとずれがあり、このような手紙をいただくことで、「あっ、学生さんにはこんなことが新鮮であったり、興味深くうつるんだ」と、私たちにとっても学びになります。将来のとても楽しみな学生さんであり、もし地域医療に興味があれば一緒に仕事をしたいし、専門の道に進まれたとしても、今回の実習が良い経験となってくれると信じています。(畑野)

畑野先生
この度はケアセンターいぶきにて実習をさせていただき、誠にありがとうございました。この4日間の実習を通じて、地域医療の魅力、醍醐味について多く知ることができたように思います。

 地域医療では、患者さんとの距離がとても近いと感じました。医療者は患者さんのことを下の名前で呼んでいましたし、患者さんの家族構成や患者さんのお孫さんが何のスポーツをされているかも知っていました。また、ケアセンターは出張診療所でも診療を行うことで、移動の手段のない患者さんも受診しやすいよう配慮しており、本当に患者さん中心の医療をされていると感じました。また、往診や訪問看護、ケアマネさんのモニタリングに同行させていただいた際、多くの方々が「畑野先生の顔を見るだけで安心する」と仰っていました。患者さんとの距離が近いことで、24時間いつ電話がかかってくるかわからない等、大変なことも多いと思いましたが、その分患者さんからの信頼も厚く、やりがいもあるのだなと感じました。

 また、地域医療をするにあたっての問題点は、ケアセンターのようにグループで地域医療を行うことで解決することができるということもわかりました。地域の診療所の多くは、検査機器もあまり置くことができないと思いますが、ケアセンターには内視鏡もエコーも、X線もありました。また、複数の先生が診療を行うことで、交代制を敷くことができるので、先生が学会に行くことも可能です。

 このように、地域医療ならではのやりがいを得ることができ、そして地域医療をするにあたっての問題点を解決すすることのできるケアセンターいぶきは、地域医療をするのに最適な医療機関だと感じました。将来の進路はまだ明確に決めることはできていませんが、もし地域医療をするのであれば、ケアセンターでぜひとも医療をさせていただきたいと感じました。

 また、畑野先生の常に熱心に努力される姿は、ぜひとも見習わせていただきたいと感じました。先生は、先生の受け持ちの患者さんが急変した時も、患者さん自身で直接総合病院に行ってもらうのではなく、まず先生が患者さんの状態を確認し、一刻を争うときを除き、畑野先生からの紹介という形で総合病院に送っておられるということを聞き、素晴らしいと思いました。先生がご自身で患者さんの状態を確認されて、そして後から総合病院の先生から検査結果などを聞くことで勉強になると仰っていましたが、その姿勢は見習わせていただきたいと思いました。また、先生は勉強会に参加された際、メモを多く取っておられました。メモを取る学生はよくいますが、メモを取られているベテランの先生は初めて見ました。ベテランで経験を積まれていても、日々勉強しようとされるその姿は本当に見習わせていただきたいと思いました。先生はいぶきの地域医療を支えることは、地域から都会へと人がいくなってしまうことを防ぎ、結局地域そのものを支えることになると仰っていました。確かに医療は、地域のインフラであり、そのインフラがしっかりしていなければ人は住むことができず、他の地域へ移ってしまいます。地域医療はそういう意味でも奥深いものだなあと感じました。

 長くなってしまいましたが、この4日間で多くのことを学び、感じさせていただくことができました。私のような知識や経験の乏しい私に、問診、聴診、血圧測定など多くの医療行為を経験させて下さいました。また、医師の仕事だけでなく、老健、ケアマネージャー、訪問看護など、多くの種類の仕事を見せていただきました。また歓迎会も開いてくださり、本当にありがとうございました。畑野先生をはじめ、中村先生、臼井先生、西脇先生、児玉事務長、そしてお世話になった全てのスタッフの方々に御礼申し上げます。本当にありがとうございました。また、お礼状が大変遅くなってしまいましたことをお詫び申し上げます。

 滋賀医科大学 5回生 S.Y.