地域連携パス研修会

2015.2.12 湖北メディサポセンター

薬剤師会を中心に、地域医療支援センターの協力のもと、地域連携パス研修会が開かれました。薬剤師さんも、薬局の中だけなく、これからは地域に出てくことが求められています。ただし、薬剤師さんには情報として医師の処方箋だけしか流れていないのが現状。患者さんの病名や状態の情報が伝わらない、ケアマネや介護保険サービス事業所から生活状況についての情報も入らないとのこと。薬剤師さんの持つ能力を活かし、医療職や介護職とうまる連携ことが、これからの「地域包括ケアシステム」の中で求められてます。そんなことを感じる研修会となりました。
   

お薬手帳に医師のカルテを貼りつける

薬剤師としての専門知識を活かせる 

薬が変更になった理由を理解し患者さんにアドバイス 
 
ITネットとお薬手帳の比較
 
乗り越えるべき課題もある
 
汎用パスとしてのお薬手帳の時代がやってくる

薬剤師を中心として、医師や看護師、ケアマネ、歯科衛生士、保健師、介護士など、多職種が「ワールドカフェ」方式でディスカッションしてもらいました。司会は西井薬剤師さん。多職種が連携するためにどのような工夫が必要か。現在どのような連携ツールがあるか。今後の連携ツール作成のために、どうしたらいいか熱心に話し合いされました。はじめのうちは固かった皆さんの表情も次第に和やかな雰囲気となりました。おとなしいイメージのある薬剤師さんが、とても活発に笑顔で話されている姿を見て、潜在能力にとても期待を持ちました。薬剤師以外の職種も、薬剤師さんをうまく使って、利用者さんを元気にさせたいと思っているし、仲間に引き込むためにはある程度の共通した情報が必要です。
 
   
   
   
   
   
 
   

1.日頃どんな連携がありますか?  ・あさがおネット(IT)
・退院前カンファレンス
・お薬手帳を利用した情報交換
・お薬手帳に医師カルテ貼付、化学療法貼付
・病棟看護師のミーティングに参加
・ヘルパーとの連絡
・行政との連絡
・若手薬剤師の会に参加
・認知症見守り
・お薬手帳を利用して薬局・薬局間で連絡
・包括支援センターと金融機関で連絡(認知症患者支援)
・CKDシール
 
 2.連携するうえでの壁や問題点は何ですか? ・個人情報の取り扱い
・インフラ整備
・医師との壁(連絡が取りにくい、面談予約が取りにくい)
・お薬手帳の必要性をわかっていない(患者も医療者も)
・お薬手帳の中身が医療機関によってばらばら
・病院医師に会うことが難しい(診察日が決まっている)
・医師に忙しいといわれる
・医科と歯科の医師の連携がうまく取れない
・病院看護師の服薬管理に対する意識が低い
・ヘルパー、看護師、医師の記録がバラバラ
・医療介護言語(専門用語)が難しい
・退院後の様子がわからない
・お薬手帳の持参率が低い、複数持っている
・糖尿病、血圧手帳などたくさんありすぎる
・病院医師の対応が遅い(1~2週間かかる)
・お薬手帳のサイズが小さいため紛失しやすい
3.連携を進めるためのツールには何がありますか?  ・お薬手帳に保険証や診察券などを入れるポケットつきカバーをつける(持参率アップをめざす)
・情報を貼付できることができる共通フォーマットを作成
・保険薬局と病院薬剤部との直通電話(ホットライン)
・各種手帳を統一する(システム手帳、健康手帳のようなもの)
・啓蒙ポスターを平和堂など多数の人が利用するところに掲示する
・カフェ・飲み会などで多職種交流をする(お互いの業務内容を知る)
・「私のカルテ」などのようにいろいろな手帳を1冊にまとめる
・情報が一つにまとまった手帳があるといい(大きめサイズのもの)
・情報を一つにまとめたエコバッグのようなものがあるとよい
・今あるツールで多職種がデータやコメントを入力する
・滋賀県全体で同じツールを利用、活用できるのが理想
・啓蒙ポスターを医療機関以外にも掲示する
・手帳を発展させて、お薬以外の情報も載せられるもの 

意見・感想

鍼灸師  ・診察時に患者さんが自分の症状を言いきれず、お薬手帳で知ることも多々あるのでもっと推進していただけると嬉しい。
・こういった機会をいただき感謝。楽しかった。 
 歯科衛生士 ・たくさんの薬剤師さん、いろんな職種の方と話す機会をいただき、感謝 
行政職  ・お薬手帳は必要だが、お薬手帳を発展させた多職種が共通で利用できる手帳があるともっとよい 
 保健師 ・勉強不足のため、少しわかりづらかった。
・在宅支援の中での薬剤師さんの立ち位置が明確になるよう勉強会があれば積極的に参加したい。
・薬剤師さん、忙しいと思うが、1例ずつでも訪問指導をお願い。
・薬剤師さんに気軽に相談してもいいことが分かったことが、今日一番の収穫だった。 
 ケアマネ ・楽しい研修だった。いろいろな人を巻き込むことが大切
・ケアマネとして何の薬を飲まれているのか知るのにお薬手帳を活用している。しかし見にくいものもあるので統一した書き方になっていればありがたい
 病院看護師 ・遅い時間からだが参加してよかった。
・普段薬剤師さんがされていることを知ることができて新鮮だった。 
病院薬剤師  ・お薬手帳の連携に今後貢献していきたい。多職種の方との交流は刺激になった。他職種の方の話を聞くことができ、どういった流れで患者さんを支えているのか知ることができて有意義だった。
・多職種の参加が今まで以上に増えればいいと思った
・薬局さん、ケアマネさん、市職員さんなど普段接点のない方と話ができたことが有意義だった
・患者さんがお薬手帳を持つメリットを明白にしていくことが、お薬手帳を持つきっかけになり、活用方法を明確に表明することで、より現実的な話になるのかと思った
・普段出会う機会の少ない他職種の方と意見交換ができて、とても刺激になった
・いろいろな職種の人と話ができて勉強になった。身近にはいるが実際には意見を聞いたことがない病院看護師の意見も聞きたかった。
・意見が多くできてよかった。ホストの人は課題にそって進行をしていただけるともっと良かった。他職種のひとを呼ぶなら、もっと薬剤師以外の人に意見を勧めるように誘導してもよかった
・次回の開催を期待している
・段取りしていただいてありがとうございました。次回はグループワークに医師を入れましょう。
保険薬局薬剤師  ・お薬手帳の有用性を皆さんが認識していることがわかりうれしかった
・もっと他職種の人がいるとよいと思った
・お薬手帳というよりは健康管理手帳として、発展させていくことが求められていると感じた
・本当に良い機会だった、次回もぜひお願いしたい。各方面からの具体的な事例発表なども持ちよるとさらに良いものになると思う。
・多職種の方と話せて有意義だった
・お薬手帳の大切さを改めて感じた
 医師(アドバイザー) ・いろんな話、顔を知れてよかった。情報がリレーでつながっていき、職種毎の考えで情報を膨らませてつなげていく
・ものを介した連携、場所を介した連携が考えられるが、これは手段であり、達成目標は別にある
・達成目標は普段しないことをする、しないところですることで一歩近づいていく。それがゴールになり患者さんのためになる
・医師は「医師」という職種名で敷居が高いと感じられてしまう。定期的に多職種が集まるシェアハウスのような場所があるとよい
・お薬手帳がHOPカード(平和堂のカード)並みに価値があればみんな持ってくれるのではないか
・楽しい討議の場、多職種が集まれる場ができた。これが継続し積み重なっていくことが重要
・薬剤師さんがしてくれることがたくさんあることを知った。他の多職種連携会議(IPE、IPW) でもアピールしてほしい
・お薬手帳について、医師を巻き込んで、どんなに大事なものであるかをPRしていく